つきうさぎ(2/4)
「うん。年に一度くらいは」

 少し得意気に言うコウタに笑顔で釘を刺す。

「そんなもんで良いよ。普通は」
「普通はさぼっちゃいけないんだよ」
「まぁなぁ。…授業出たかったのなら、出てたら良かったのに」
「そんな気を遣うなら誘わないでよー」
「あー、悪かったな」
「良いの良いの。私、数学嫌いだし、受験に関係ないし。それに、…空がキレイだし」

 ヒトミが風に揺られる長い髪を抑えながら空を仰ぐ。つられてコウタも体を起こした。

「まぁな。俺もわざわざ雨の日にこんな所に来ないからなぁ」
「雨の日はどうしてるの?」
「おとなしく授業に出てる」
「あはは。偉いじゃない」
「寝てるけどな」
「そんなことだろうと思ったよ」

「私も、雨降ってる空より今日みたいな空が良いかな。空の青と雲の白のコントラストが素敵で…」
「ほら、白い月」

 と、ヒトミが空を指さす。その先には青白い月がぼんやりと浮かんでいた。

「あー…、ほんとだ」
「また月に…行きたいなぁ」
「行ったことあんの?」
「うん。あるよ。中2の頃だったかな」
「でも、今はちょっと無理だな」
「そうなんだよねぇ。空はこんなにキレイなのに…宇宙で、戦争やってるんだよね」
「結構、長い間やってるよな」
「ねぇ。なんだっけ。どっかの国が宇宙から地上を攻撃できる兵器を打ち上げたんだっけ?」
「それが始まりらしいけど、今はどうなってるのかよくわからないんだよなぁ」

「真上でやってるかも知れないのに、目に見えないから実感無いし」

 そうは言っても、昼夜を問わず空を見上げると時々星とは違う光が見える。何も知らずにその光を見ると星と同じきれいな光。しかし、その光の意味を知ると、それは他ならない戦火の光。テレビで毎日報道されている非現実的な事実。しかし空を見上げれば、その事実と容易に直面出来るのだった。


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