つきうさぎ(1/4)
「空が…キレイだねぇ…」

 緑の絨毯が広がる小高い丘に並んで寝そべっているヒトミとコウタ。
 ゆっくりと雲が流れる青空を観ながら、ヒトミは呟いた。

「ね」

 ヒトミが隣にいるコウタに頭を向けた、が、

「ねぇってば」

 コウタはとぼけた寝顔で空を仰いでいた。
 ヒトミは半身を起こして、コウタの肩をゆさゆさとゆすった。
 とぼけた寝顔がゆさゆさ揺れる。

「あ、あぁ、ふあぁあ…、……おはよう」

 コウタが大きく伸びをした後に泪を拭きながらヒトミに応える。

「おはよ」

 ヒトミが笑顔で応えると、

「あと何分?」

 コウタは寝ぼけ顔で訊いてきた。

「えと、5分くらい」

 ヒトミがスカートのポケットから携帯電話を取り出して時間を確認すると、

「あー…、さぼっちゃったねぇ」

 ヒトミが二つ折りの携帯電話を”ぱたん”と閉じて呟いた。

「俺はいつも通りだけどな」

 頭の後ろで手を組んで寝ころんでいたコウタが軽く笑いながら言った。

「出席日数大丈夫なのぉ?」
「大丈夫。その辺に抜かりはない。毎回こんなことしてるわけでもないし」
「ホントにィ? あと友達がノート見せてくれなかったらどうするんだよ。まぁ、こういうのもたまには良いものだけど」
「だろ?」

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