暑中お見舞い申し上げます(2/6)
「まぁ、みぃ…」

 隣で寝息を立てていた加南子が寝言みたいな声で私の名前を呼んだ。

「なに?」

「まぁ、みぃ…さぁ…」

 やっぱりただの寝言だろうか、加南子の口は目を開けずに動いていた。
 でもしばらくすると、加南子は小さく体をよじらせたあと、両手をあげて大きくあくびをしながら伸びをした。そして加南子の目がゆっくりと開かれて、次は手で辺りを探りはじめた。

「……なにやってんの…?」

 私が不思議そうに訊くと、

「めがね…めがね…」

 眼鏡を…探してるようだった。
 私は軽く笑いながらため息をついて、

「かけてるよ」

「あ」

 加南子は少しびっくりしたように、少し恥ずかしそうに、自分の顔にかけられた眼鏡を確認した。

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