息の根っこ(3/6)
「…ハートは何も教えてくれないようだが」
「そうですか、では」
首にかけた両手に再び力を入れようとする。
「待てって」
「はい」
「お前は、俺の、何だ?」
「恋人なんじゃないですか?」
「じゃ、俺は、お前の、何だ?」
「恋人ですよね」
「だろ?」
「ですね。でも」
「でも?」
「恋人だからって許されることがそれなりにある様に、恋人だからって許されないこともそれなりにありますよね」
「……そうだが…」
「そう言うことです」
「待て」
「はいな」
「だからってどうして俺の首を絞めようとする? てか、俺、死ぬだろ?」
「まあね。ここは息の根っこだから」
親指で俺の首を『とんとん』と叩いた。
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