1万年アイス(4/7)
「甘いものが食べたいな、って。」
 少女が言った。

「だから、アイスを?」
 私が言った。

「そうです」
 少女はアイスを『ぺろり』と舐めた。

「寒いのに」
 それを見て私は思わず身震いをする。

「それが良いと思ったのです」
 私を見ながら『ぺろり』とアイスを舐めた。

「どうして?」
 少女の方を向かずに言った。

「溶けないと思ったから」
 アイスを見つめながら。

「でも溶けた」
 私はまたアイスの滴が『ぽたり』と落ちるのを見た。

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