1万年アイス(3/7)
「誰かを待っているなんてあなたに言いましたっけ?」
 私が訊くと、

「思いつきで言っちゃだめでした?」
 少女が言った。

「…何でも良いじゃないですか」
 てゆうか、遅い。早く来い。寒くて仕方ない。

「…冬だからって、アイスが長持ちするかというとそうでもありません」
 少女が、口から離したアイスを見つめて言った。
 溶けたアイスが滴となって、地面に『ぽたり』と落ちた。

「結局は、舐めて溶かしてしまいますし」
 そう言うと少女はアイスをまた口にくわえた。

「そりゃあ、ね」
 私は少女を見ながら言った。

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